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弁護士 福田 浩
2014年10月31日(金)
誕生日
財布に入っている運転免許証と今読んでいる新聞の日付を照らし合わせると、どうやら本日は私の誕生日のようである。
小学生のころは、「プレゼントは何がいいの」などと、母親が、誕生日が近々来ることを教えてくれたものである。学生のころは、彼女から、心はこもっているが、身に付けるのが気恥ずかしい手編みのプレゼントをいただき、お返しが大変だなぁなどと要らぬ心配をしたものだった。
社会人になってからは、行政からも「そろそろ誕生日ですよ」などと親切にお知らせいただくようになった。運転免許センターの気遣いも行き届いているが、毎年お知らせいただくと、なお良いのではないだろうか。昨今では、親切にも誕生日を知らせる手紙をたくさんいただくようになった。有り難いことである。私の誕生日のお祝いとして、素晴らしい特典や特別割引をいただけるようなので、出掛けてみようか。
誕生日が来たからといって何歳になったのか自覚するわけではないが、小学生のころは、さすがに何歳になったか忘れることなどなかった。衝撃的なのは、30歳になったときだ。独身サラリーマン時代、すでに家庭を築いている同期も多くなり、合コンで、30歳なんて言えやしない、などと落ち込んだ。40歳になったときは、人生の折り返しを過ぎたことに、四十にして惑った。
ところが、不思議なことに、50歳になったときは何の感慨もなかった。学生時代の同期もサラリーマン時代の同期も、様々な人生を歩んでいる。まさに、人生いろいろ。若年時代には、年齢に応じた生き様のようなものにとらわれていたが、50歳を超えるころになってからは、誕生日はもとより、年齢は生き方には関係がないことを実感するようになったのだと思う。聞くところによると、世界には、そもそも自分の誕生日も年齢も知らないままに生活している人が多いそうだ。私も、そのような世界に入りつつあるのかもしれない。
弁護士 福田浩