弁護士 谷脇 裕子
2011年01月31日(月)
コウテイペンギン
弁護士の谷脇です。
みなさんは“コウテイペンギン”ってご存知ですか?
(私は、最近まで黄色い眉毛がビュンとなった強面のペンギンのことだと思っていました。)
今年のお正月の深夜、こたつでうたた寝をしていたら夫に声をかけられ、目を覚ますと何やらペンギンたちがいっぱいテレビに映っていました。最初は、ペンギンが何かしゃべっていて変だな~なんて、何気なく観ていたのですが、過酷な大自然の中で生存していくための彼らの驚くべき行動の数々、そしてふと見せるユーモラスな仕草や雛たちの愛らしい姿に、いつの間にか夢中になっていました。後になって、2005年フランスで製作されたリュック・ジャケ監督の『皇帝ペンギン』というドキュメンタリー映画だとわかりました。
マイナス40度、強風の吹きすさぶ南極の氷の上を、短い足を不器用に動かしながら歩く皇帝ペンギンたち。繁殖地での求愛行動の後、メスは卵を産み落とし、その卵をオスに受け渡して、やがて生まれてくる我が子のためにエサを求めて群れを離れます。一方、オスたちは120日間に及ぶ絶食をしのぎ、身を寄せ合って寒さに耐えながら、ひたすら足の上に乗せた卵を守り続けます。
昨今、親による子どもの虐待や、わが子を愛せない親の話を報道等で毎日のように耳にし、目にします。「愛するということ」が今ほど頼りなく感じられる時代はないといえるかもしれません。彼らのちぐはぐで不格好で一見おかしくも見える愛のかたちが、エミリー・シモンのテーマ曲にのって、私に「愛するということは?」「そのために命までかけるということは?」と静かに、でも激しく訴えかけてきました。