弁護士 中岡 正薫
2017年03月07日(火)
厩火事
弁護士の中岡です。
先日、事務所で仕事をしていると、近くを歩いていたうちの事務局さんがロッカーの角に足の指をぶつけて痛そうにしていていました。
冗談半分に「大丈夫?ロッカー」と言ってみたのですが(当然、怒られます。)、そのときふと、このやりとりどこかで見聞きしたことがあるような既視感を覚えました。
暫く考えて思い出しました。そう、『厩火事』です。
あらすじはこうです。
『髪結いで生計を立てているお崎の亭主は文字通り「髪結いの亭主」。怠け者で昼間から遊び酒ばかり呑んでいる年下の亭主とは口喧嘩が絶えないが、しんから愛想が尽き果てたわけではなく、亭主の心持ちが分からないと仲人のところに相談を持ちかける。
話を聞いた仲人は、孔子が弟子の不手際で秘蔵の白馬を火災で失ったが、そのことを咎めず弟子たちの体を心配し弟子たちの信奉を得た話と、瀬戸物を大事にするあまり家庭が壊れた武家の話をする。そして目の前で夫秘蔵の瀬戸物を割り、どのように反応するかで身の振り方を考えたらどうかとアドバイスをする。
帰った彼女は早速実施、結果夫は彼女の方を心配した。
感動したお崎が「そんなにあたしのことが大事かい?」と質問すると、「当たり前だ、お前が指でも怪我したら明日から遊んで酒が呑めねえ」(ウィキペディア日本語版/https://ja.wikipedia.orgより)』
このお話のサゲ(落ち)、亭主が酷い奴という見解と、妻を心配しつつ照れ隠しの発言だという見解があるみたいです。
ただ、確実に言えることは、
「当たり前だ、お前が指でも怪我したら明日から裁判所に書類を持って行ってもらえねえ」
咄嗟に厩火事を思い出してこの台詞を口にしていたら、翌日には私の席はなくなっていたことでしょう。