弁護士 福田 浩
2014年04月04日(金)
消えゆくれんが敷き
呉中通商店街の車道から、長年親しまれてきた、トレードマークの赤れんがが消えるそうだ。
赤れんがのある街並みが大好きだ。行き交う人々の靴底との摩擦によって、かすれてしまった色合いにも風情がある。アスファルトが痛んでくると、早く直せばよいのに、と感じるが、赤れんがは違う。赤れんがの痛みは、人々の生活の歴史そのものであり、その朽ちてゆく姿をそのままにしていただきたい、と思う。靴底に感じる応力も、アスファルトの素っ気ない硬質感とは違い、優しく大地に受け止めてもらえている感が、とてもうれしい。
広島の街中にも、まだ、赤れんがが残っているのをご存じだろうか。私の一番のお気に入りは、広島女学院南側の通りである。色違いのれんがでデザインされた模様がよい。学校側には、れんがで作られた柱が建てられており、上には、夏の厳しい日差しを遮る植物のアーケードがある。道路側さえ気にしなければ、しばしのタイムスリップ、人によっては、しばしのヨーロッパ旅行を楽しむことができるのでは。
弁護士 福田浩